オペラグラス越しのシリウス

焼き焦がされたいオタク

10周年を祝うオタク

先日、応援している俳優さんのイベントに行った。

俳優さんの名前を出さないのは、なんとなくそちらの方が雰囲気が漂いそうという、頭の悪さ全開の理由からだ。

ついこのあいだまで六文銭のお家に従える十番目の勇士だったあの俳優さん。以下、彼とする。

 

彼は、今年でデビュー10周年を迎えた。イベントは、それに関連した内容だった。

私は、本人の視界に入らなければいけないイベントが苦手だ。だが、私の知らないところで彼がお仕事をするのはもっといやだ。

だから、「もしかしたら時間の関係で接触しなくてすむかもしれない」と言い聞かせながら、毎回チケットを買っている。

今回は、公式から「ハロウィンですので、ぜひ!コスプレしておこしください。」というお知らせがあった。苦行だ。

しかし、公式の決定は絶対。楽しむのもまたオタクの使命だ。

彼が演じた役の衣装に似た服を探して買い、それっぽく見えるように着て行った。

 

イベントの時間はおよそ1時間。

「これまでの作品についてのトーク→客のなかからすごいコスプレイヤーを決める→クイズ→役者さんからプレゼントの手渡し 」という流れだった。

宗教上の理由で彼にかんするレポは書かないと決めているので、思ったことをざっと並べる。 

①トーク:1部と2部で5年ずつに分けていたとはいえ、確実に時間が足りない。過去作品についてひたすら語るイベントが必要だと思う。だが、本人の口から作品や共演者について聞けるのは、尺にかかわらずうれしい。

②コスプレ:イベント内容の発表があってから、「この時間を削ってトークに回してくれ〜」とずっと思っていた。いざ会場に入ると、ほかの人のコスプレに感動していた。空間のもつ力はすごい。

③クイズ:答えがわかっても、手を挙げたお客さんに耳を傾ける作業に徹する。ほかのイベントでもそうだが、マイクを持って走り回るスタッフさんに拍手を送りたくなる時間だ。

④手渡し:ちょっとしたアクシデントがあって会話できなかったが、いつもまともに話せていないので問題ない。

以上だ。

イベントは苦手と書いていながら、十分に楽しんでいる。お客さんだけでなく、スタッフさんも彼自身も楽しんでいるのがわかるから、私も楽しいのかもしれない。

もうコスプレは勘弁してほしいが、素敵な10周年のイベントだった。

 

ここからは、私について書こうと思う。

私のブログなのだから勝手に私について書けばいいのだが、いつもの3倍思い上がったポエムを書くという意味だ。

 

彼はデビュー10周年だが、私が彼を知ったのはおよそ8年前。青い帽子を被ってテニスラケットを振っているときだった。

当時の私は、彼のことが好きではなかった。

テニスラケットを振る舞台には、ファンによる無駄な争いがある。「何代目の戦い」と「数字の戦い」だ(数年前から「序数の戦い」が追加された)。

上では「無駄な争い」と書いたが、そのときの私は、初代水色がイメージカラーの学校史上主義方についていた。

しかも、彼の演じたキャラは私が原作でもっとも好きなキャラ。愛着がありすぎて、「初代の役者さん以外には演じられないし、演じて欲しくない」と思っていた。

だから、彼のことは受け入れられなかった。役者さんの顔と名前を覚えるのがひどく苦手な私にとって、一生懸命覚えるに値しない存在だった。

 

つぎに出会ったとき、彼は仮面ライダーに変身していた。

「もさい」

ビジュアルを見たときは驚いた。実際に動いている姿を見たら印象は変わったが、そもそも作品と合わなかったため、リアルタイムでは片手で数えられる程度しか見ていない。彼を応援していなければ、これから先も見返すことはなかっただろう。

 

そのつぎに見た彼は、人間の花嫁をもらう鬼になっていた。

ここで、はじめて彼のことを好意的に捉えた。

作品には三組のカップルが出てくるのだが、私は、彼の演じた残忍な鬼と某加護ちゃんの演じた気の強い花嫁の話が一番好きだった。

このときの私は、完全に「いいぞいいぞ」と二人を冷やかすモブだった。「この人かっこいいな」とは思ったが、それは役に対してであり、中の人を知ろうとは思わなかった。

とにかくただのモブだったのだ。今でもラストのキスシーンを見ると、「Whoo!!」とはしゃいでしまう。

 

それからしばらくして、彼は戦国時代のさまざまな武将をしていた。

討ちに来てくれる子持ちのアイドルを見て、はじめて彼について検索してみた。

すると、つながるわつながるわ。受け入れがたい二代目も、もさい仮面ライダーも、残忍でかっこいい鬼も、全部全部彼だったのだ。

私は混乱した。あんなに苦手だったのにと、ウィキペディアを開いたまま呆然としていた。そして、もっといろいろな役を見てみたいと思った。

はじめて彼と出会ってからおよそ4年。ようやく、私は彼のファンになった。

 

ただでさえ長いので割愛するが、それからは愉快な応援ライフを送っている。

自由に使えるお金と時間ができ、舞台に「行く」ではなく「通う」ようになってからは、ファンというよりこじらせたオタクになった(全通もしなければグッズも最低限しか買わないため、オタクと名乗るにはおこがましいのだが、こじらせた人だと語呂が悪いので、こじらせたオタクを自称している)。

 

私が知らなかったときも含め、この10年、彼は着実にステップアップしている。応援していて楽しいし、とても幸せだ。

 

以前は、もっと早くから応援しておけばよかったと思っていた。

過去の出演作がDVDになっている方だとはいえ、やはりこの目で直接見たかった。ほかのファンの昔話を耳にするのも、正直あまりいい気はしない。

しかし最近は、あのタイミングだったからこそ、ここまで好きになったのだと思う。

テニスラケットを振っている彼にときめいていたら、検索したときの衝撃は味わえなかった。もしかしたら、大好きなキャラを演じた人としてのみ、彼を見ていたかもしれない。

彼を否定した自分を肯定するわけではないが、あれは必然だった。

それに、過去にこだわる暇を与えないくらい、彼は今を見せ、未来に期待をもたせてくれる。

残念な気持ちは消えていないが、一銭にもならない過去への執着より、今後への投資の方がずっと建設的だろう。

 

オタクでいることについて悩むこともある。

それは完全に私の性格が原因で、彼も彼の出演した作品も悪くない(作品のせいにしたいときはある)。

だが、オタクはちょろい。彼が「つぎの作品も楽しみにしていてください」と書けばチケットを取るし、「お越しくださりありがとうございました」と書けば「また行こう」とお金を貯める。

勝手に応援して、勝手に悩んで、やっぱり勝手に応援する。馬鹿馬鹿しいが、これが私だ。

 

彼を好きでいる限り、私はこれからも彼を応援しつづける。

10周年、本当におめでとうございました。

 

おわり